2011年05月18日

序章

「にいちゃん 煙草買って来てくれへんか?」

小綺麗なダボダボでねずみ色の作業服を着た

常連のおっちゃんが、吸いきったセブンスターの空箱を

ぎゅっと捻りながら言った。

「はいっ!セブンスターですね?」

今でも 従業員がここまでのサービスを する事などないと思うが

もちろん その当時も同じである。

ただ、この男の場合 は 出来る限り

トラブルを回避したいという思いもあったが

一種の 悪賢い性格からくるものかも知れない。

客に嫌われて 嫌な思いをして働くより

出来る事なら 好かれて、気分良く働いた方が

よっぽど得だと思っていたのである。


昭和55年 沖縄ーー


だから 機械のトラブルで呼ばれた場合

それを直した後、中のコインを 数十枚取って

マシンの下皿へ入れてやっていた。

普通 全国何処の遊技場でも

トラブル解消後は コイン3枚分程度のサービスと

ほとんどの店舗で、決められているものだ。

だが、男は必要以上のサービスをしてやり

それ以外の場合でも
客のある程度の我がままも聞いてやっていた。


結果、公認ギャンブルという仕事柄



ほとんどの従業員が、客に嫌われている中で


彼だけは 違った。















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 謎の集団 (2011-05-23 03:33)

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